〒105-0004 東京都港区新橋5-7-13 ビュロー新橋903

当事務所への
アクセス方法
JR/地下鉄銀座線 新橋駅:徒歩6分
都営浅草線 ゆりかもめ 新橋駅:徒歩8分

地下鉄日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅:徒歩10分
地下鉄都営三田線 内幸町・御成門駅:徒歩8分
※駐車場あり(パーキング・メーター)

お電話でのお問合せ・ご相談

03-6452-8827

法律情報・ライブラリー

面会交流の事例検討(審判に対する抗告事件)

面会交流は、離れていても子供に会いたい親の願いの切実さと、面会交流への不安を抱える親の対立などがあり、困難事例が多い分野です。裁判例も多くあります。

子供と離れて暮らす父親が、子供との面会交流を求めて面会交流の調停を申し立て、家庭裁判所で面会交流を認める審判を得ましたが、母親側が不服として抗告し、高等裁判所が決定をした事例(平成30年11月20日東京高等裁判所決定)を検討します。

1 まずは、面会交流の意義や重要性についての判断部分です。

父母が別居しても,子にとっては親であることには変わりはなく、非監護親からの愛情も感じられることが子の健全な成長のために重要であり、非監護親と子との面会交流が実現することにより、別居等による子の喪失感等が軽減されることが期待できるから、子の福祉に反しない限り、非監護親と子との面会交流は認められるべきである。」

「面会交流の可否については、非監護親と子との関係、子の心身の状況、子の意向及び心情、監護親と非監護親との関係その他子をめぐる一切の事情を考慮した上で、子の利益を最も優先して判断すべきである」

改正後の民法766条(平成24年4月1日施行)は、父母が協議上の離婚をするときに協議で定める「子の監護について必要な事項」の具体例として「父又は母と子との面会及びその他の交流」(面会交流)及び「子の監護に要する費用の分担」(養育費の分担)を明示し、子の監護について必要な事項を定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮しなければならないと明記しました。

面会交流についての法務省のリーフレットをご紹介します。

http://www.moj.go.jp/content/000096597.pdf
面会交流の意義や子どものための面会交流の実施について書かれています。
 

2 次に、頻度や時間についての高等裁判所の判断部分を紹介します。

頻度:月に1回
時間:各回5時間
との判断がなされました。

このケースでは、それまで月に1回、2時間程度で(数回)実施されていました。

この点、抗告審は、「概ね月に1回、2時間程度の頻度で数回行われた面会交流において、対未成年者との関係において問題が見受けられず、良好に実施されたことからすると、月に1回の面会交流とするが、未成年者がより自由に相手方と面会できるよう、1回あたりの時間を長くすることが相当である。」
として、面会交流の実績にかんがみて、1回あたりの時間を長くすることが相当との判断なされました。

また、場所については、それまでは妻側の代理人弁護士の事務所での実施でしたが、
「面会交流の際に、未成年者が非監護親との交流を楽しみ、のびのびと過ごすためには、実施場所について限定することは相当ではない。」
と判断しました。

ケースによって事情は異なるでしょうし、また、月に1回5時間の交流が十分といえるかは議論があるところでしょう。
とはいえ、子供がより自由に面会できるように、交流を楽しみ、のびのびと過ごせるようにと、子供の利益を優先する考えが示されており、それが重要であることは確かです。

 

3 最後に、「立ち合い」が認められるかについての判断部分について検討します。

面会交流は普段は子供と離れて暮らす非監護親が子供と交流できる機会ですので、監護親の立ち合いを付けずに、いわゆる水入らずで実施されることが本来の形だと言えます。

しかし、父母の関係が悪く、特に、監護親が非監護親による連れ去りを心配している場合など、立ち合いをつけることを条件に面会交流が実施されているケースも少なくないかもしれません。

この裁判例でも、母親(抗告人)は連れ去りのおそれを主張し、立ち合いを求め、かつ、第三者機関による立ち合いがなされるべきだと主張しました。

この点、高等裁判所は、未成年者の年齢からすると,相手方と未成年者との面会交流を子の福祉に適うように実施していくためには,監護者である抗告人の協力が不可欠であるところ,抗告人は,相手方の対応に不信を抱き,面会交流を中断したり,平成30年1月18日以降は信頼関係が破壊されたなどとして,面会交流の実施を拒んだりしていることからすると,現段階においては,未成年者と相手方との面会交流が継続的に行われるようにすることが何より大切であり,そのためには,前述のとおり,抗告人が主張する相手方による未成年者の連れ去りの懸念についても十分な配慮をすることが必要である。」としました。

監護親が連れ去りの懸念を持っていることに対する配慮が必要だとしており、その理由は、面会交流が継続的に行われるようにすることが何よりも大切であるから、という判断です。

そして、監護親が抱く連れ去りの懸念への配慮として、それまでの面会交流の実施状況を踏まえ、当分の間は,抗告人の立会いの下で面会交流を実施することが相当であり,抗告人と相手方が,未成年者の父母として子の利益に十分に配慮して行動すべきことはいうまでもないところであり,このような態様による面会交流が子の福祉に反するものとはいえない。」として、立ち合いを認めました。

立ち合いを認めるものの、期間は「当分の間」であるとしています。

面会交流に対する抵抗感が強い監護親の協力を得ながら実施していくためには、当分の間は、立ち合いを認めつつも、継続的に実施できる環境を作ろうという考えのように思われます。
悩ましい判断だったことがうかがえます。

なお、第三者機関の利用については、「相手方が反対していることに加え,費用負担の問題が生じるところ,前記のとおり婚姻費用等の支払をめぐって面会交流が中断した経緯をも考慮すると,第三者機関の利用による面会交流は適切とはいえない。」とし、認めませんでした。

養育費の取り立てはどう変わる?
民事執行法改正

2020年4月1日から、改正された民事執行法が施行されました。

「調停で決まったのに、養育費を払ってくれない」
そうしたご相談は多くあります。

養育費について調停調書、判決、公正証書(執行認諾文言付き)で取り決めている場合、民事執行手続きによって、支払いが滞った養育費を取り立てることができます。
 

新しい民事執行法では、養育費の取り立てを可能にするための改正がいくつかなされました。養育費の取り立てがどう変わるか、3つの点をご説明したいと思います。(2020年4月25日更新)

養育費の減額について

「元夫の収入が減った場合には、養育費は減らされてしまうのか」

「離婚の調停で養育費が定められたが、その時より収入が減って苦しい」

支払う側にも、受け取る側にも、生活に直結する問題です。

養育費減額調停は、調停や裁判などで定められた養育費の減額を求める調停です。
家庭裁判所に申し立てをします。

減額が認められる事情としては、
・支払い側の収入の減少、失業など
・支払う側の病気
・受け取る側の収入の増加
などがあります。

養育費減額調停を申し立てて、新しい養育費を定めるという手続きです。

受け取る側の同意がないのに、一方的に減額することは認められていません。

(2020年4月21日更新)

養育費・婚姻費用の算定表が改訂されました

2019年12月23日に、養育費・婚姻費用の算定表が改訂されました。およそ16年ぶりの改訂です。

旧算定表に対しては、標準とされる金額が低く、ひとり親世帯が生活していくことが困難であるなどの批判がありました。

日弁連(日本弁護士連合会)は2012年に意見書を出し、2016年に提言
を発表するなど、算定表を見直すための活動を行っていました。そうした声を踏まえて、裁判所でも研究がなされ、今回の改訂となっています。

「改訂された算定表で何が変わったか?」


ほとんどのケースで養育費・婚姻費用が増額されることになりました。

ただし、増額の幅は、義務者(養育費を支払う側)の所得によって異なります。

具体的には、
高所得者の場合の増額の幅は比較的大きい
といえるでしょう。
私が担当したケースでも高額所得者の場合にはかなり増額になったものがいくつかありました。
改訂の際に検討された問題意識を、具体的なケースの主張に盛り込んで議論していくことも有効になるでしょう。


子供の成長発達を保障するという視点が、ある程度は、盛り込まれた改訂だと思います。
ただし、十分な水準かというと疑問です。

国際離婚を担当する際に、諸外国の養育費の水準を調査する機会も多いのですが、ヨーロッパやアメリカなどに比べると、日本の養育費の水準は低いのが実情だと思います。

まだまだ検討されるべき問題が多い分野だと考えています。

(2020年4月18日更新)

新型コロナウィルス問題
緊急事態宣言の期間中の離婚

コロナウィルス問題により世界的にDVの被害が深刻化しているという報告もあるように、離婚したいと考える方々は少なくないと思われます。

「緊急事態宣言が出ているうちは離婚できないの?」
と不安に思うかもしれません。

まず、協議離婚については、役所に離婚の届け出ができます。協議離婚ができます。

問題となるのは、離婚の調停だろうと思います。
緊急事態宣言の期間中でも調停の申し立てはできます。早めに申し立てをすれば、順次、調停の期日が指定されることになるでしょう。

特に、婚姻費用を請求する場合には、早期の調停の申し立てが大切です。

なぜなら、婚姻費用を求める「調停を申し立てたとき(月)」から、適切な婚姻費用の支払いが認められることになることが多いからです。申立が遅れると、その分請求できる期間が後ろになると予想されます。

婚姻費用や養育費は生活を支えるもので、ひと月の遅れも大きく影響します。遅れのないように早めの対応をおすすめします。
(2020年4月13日更新)

お電話やフォームでのお問合せ・相談

03-6452-8827

INFORMATION

2024/4/25
ドクターズマガジン2024年5月号に「吸引分娩後の新生児の帽状腱膜化血腫とその管理および助産師の意思への報告」の判例解説が掲載されました。
2024/2/28
東京三弁護士会主催「医療事件の訴状を書く、ということ」弁護士医療講演会で講師を務めました。
2024/1/23
母子保健研修センター助産師学校にて「助産業務と医療事故」の講義を行いました。
2022/11/25
ドクターズマガジン2022年12月号に「PCI術後に心電図モニターを定期的に監視する義務の違反と救命可能性」の判例解説が掲載されました。
2022/3/25
ドクターズマガジン2022年4月号に「未破裂脳動脈瘤の血管内治療についての手技と説明義務」の判例解説が掲載されました。

アクセス

住所

〒105-0004
東京都港区新橋5-7-13
ビュロー新橋903

アクセス

■JR 新橋駅:烏森口 徒歩6分

■銀座線 新橋駅:
8番出口 徒歩6分 

■都営浅草線 新橋駅:
A1出口 徒歩6分


地下鉄日比谷線
虎ノ門ヒルズ駅:徒歩10分 

地下鉄都営三田線
御成門駅、内幸町駅:徒歩8分